2003/12/03 第053回 - 山田 和芳 博士

第53回汽水域懇談会

12月3日(水曜日)夕方より第53回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、 ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『Sedimentological study on lacustrine and loess-paleosol sediments for high-resolution reconstruction of paleo-precipitation since the last glacial period in East Asia
(最終氷期以降の降水量の高精度復元に関する東アジアの湖沼・レス古土壌堆積物の堆積学的研究)』

話題提供:山田 和芳 博士 島根大学 汽水域研究センター 研究機関研究員(非常勤講師)
山田博士は本年11月より研究機関研究員として当センターに来られました。古環境学・自然地理学.主に陸上堆積物や湖沼コアの堆積学的手法および無機化学分析から最終氷期以降の東アジア各地の気候変動を高時間分解能で復元する研究がご専門です。

 

日時:12月3日(水曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)

皆様のご来聴をお待ちしております。


53th ReCCLE Seminar

概要:
今回紹介する研究では,堆積学的手法に基づく堆積物の形成プロセスを明ら かにし,日本列島を含めた東アジアのレス−古土壌堆積物から土壌化の程度および 湖沼堆積物から湖水位や河川流入量に基づいて,最終氷期以降の古降水量変動パタ ーンを明らかにすることを研究目的とした.その目的達成のために,東アジア各地 (日本,中国,モンゴル,インド)において湖沼およびレス−古土壌堆積物の試料 採取を行ない,最も効率よく迅速に分析できる分析フローチャートを作成した.主 な機器分析は以下のとおりである.(1) 初磁化率の測定,(2) XRD分析による鉱物組 成・定量,(3) XRF分析により主要化学組成・定量,(4) 全(有機・炭酸塩)炭素量測 定,(5) 分光反射率の測定,(6) 電子顕微鏡による像観察.
各種分析結果に基づき,まず,鉱物・化学分析によってレス−古土壌堆積物の層 準認定を行ない,降水量が少ない半乾燥地域におけるレス−古土壌シークエンスの 形成プロセスを明らかにして,レスのような陸上堆積物の岩相変化も時系列の環境 変化として置き換えられることを示した.そして,上述の基礎的研究に基づいて明 らかにした最終氷期中期以降の東アジアにおける古降水量変動パターンには,北大 西洋地域で認められるダンスガード・オシュガーサイクルに同調する千年スケール の乾湿変動や,過去6万年前以降次第に乾燥化する長期傾向が認められ,それが, 東アジアの各地域間で極めて類似していることを明らかにした.この変動パターン は,北大西洋の気候変動を伝播する偏西風の流路・強度変化が夏季モンスーン変動 に影響を与えたグローバルな大気循環変動と,地球外力に起因する地域的大気循環 変動の双方の作用によって引き起こされたものと解釈づけた.
とくに,本発表では,(1) 滋賀県琵琶湖堆積物を用いた過去4万年間の環境変動. (2) 中国雲南省エルハイ湖堆積物を用いた最終間氷期以降の湖水位変化.(3) 中国,黄 土高原西縁で採取したレス古土壌堆積物を用いた過去6万年間の古降水量変化につ いて,詳しく述べたいと思っています.みなさまの貴重な御質問・御意見を頂けた らと思っています.