2005/08/29 第065回 - 香月 興太 博士

第65回汽水域懇談会

9月14日(水曜日)夕方より第65回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『Paleoenvironmental reconstruction based on diatom assemblages in the subarctic Pacific and its marginal seas during the late Quaternary(珪藻遺骸群集に基づく北太平洋高緯度生産域における第四紀後期の表層環境復元)』

香月 興太 博士 島根大学汽水域研究センター 非常勤研究員

香月 興太 博士は、珪藻群集を研究対象として、現生における分布域と海底堆積物試料中に含まれる化石群集の組成を中心に研究を行ってきました。今年の8月から、非常勤研究員として島根大学汽水域研究センターに着任しました。
今回の懇談会では、この分野の非常に興味深いお話が聞けるものと思います。皆様のご来聴を心よりお待ちしております。

日時:平成17年9月14日(水曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)

../seminar/65thReCCLESeminar.pdf


要旨:
近年地球温暖化を始めとする環境変動が問題となっていますが、その改善や復元のために地球環境システムの解明が強く望まれています。第四紀における地球環境は、数十年〜十万年周期の激しい気候変動を繰り返しており、環境因子と地球環境の関連を解き明かす絶好の舞台となっています。近年の研究成果に基づいて、気候や基礎生産力の急激な変動が海氷域や海流系の変化によってもたらされることが示唆されています。従って、古海氷域や古海流系の解明は古環境の復元に関して重要な知見を与えると期待されています。しかしながら、海氷や海流は堆積物中に直接的な痕跡をほとんど残しません。この為その解明に際しては環境適応性の高い動植物プランクトン化石を用いる方法が有効であると考えられますが、特に海洋の一次生産者である珪藻群集は、堆積物中で保存されやすく、種の多様性も高いため環境復元の指標として高い信頼性が寄せられています。この手法を用いて環境因子を解明するためには、季節氷に覆われる高基礎生産海域での堆積物の解析が不可欠であり、北太平洋亜寒帯域及びその縁辺海での研究が重要となります。
今回の発表では、西部北太平洋亜寒帯域・ベーリング海・オホーツク海の3つの海域で採取された堆積物試料中の珪藻化石群集を基に、第四紀後期における基礎生産力の変遷と海氷域・表層水循環の関連に関して解説します。また縁辺海という陸地に接した海域において地形の変動が環境に与える影響の大きさについても考察します。また、過去を研究する上で「現在との対比」という言葉が良く聞かれます。そこで、本研究に対する基礎研究として、化石群集と現在生息している群集の差異、沈降・続成過程における選択的溶解についてもお話したいと思います。