2010/06/18 第091回 - 清家 泰 博士

第91回汽水域懇談会

2010年6月24日(木曜日)夕方より第91回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

汽水湖底層無酸素水塊への酸素導入による酸化還元化学種の挙動
清家 泰 博士(島根大学総合理工学部)

日時:2010年6月24日(木曜日)17:30〜18:30
場所:島根大学汽水域研究センター2階セミナー室(201)


発表の概要:
汽水湖中海には,浚渫窪地(水深13〜15m)が多数存在し,その塩分躍層(3〜5m)以深では,長期にわたり無酸素状態を呈するため,湖底堆積物からは栄養塩(窒素・リン)の供給のみならず,硫化水素が発生する等,底生生物が生息できない劣悪な環境となっている。そこで,窪地底層への高濃度酸素水の導入による水質・底質改善を3年間にわたり試みた。本研究のねらいは,不足している酸素を補給するという自然への手助けのみで,あとは自然が本来有する自浄作用に任せて,底層水の水質改善及び湖底堆積物の質的改善を図ろうとする点にある。
本研究では,高濃度酸素水の導入ツールとして,気液溶解装置(松江土建(株)と(独)土木研究所の共同開発)を使用した。この装置は,水圧を利用して高濃度の酸素を溶解し,得られた高濃度酸素水を水平方向に同心円状に吐出する。また,従来のマイクロバブル方式とは異なり,気泡を生じないため上下混合を引き起こさない。したがって,無酸素化の進行する特定の層への酸素供給が可能であり,かつ上層の生態系に悪影響を及ぼさない特徴を有する。
特筆すべきは,本手法による高濃度酸素水の導入により,湖底堆積物の表層から約5cm 深度の広範囲にわたり(通常は数mm程度),硫化水素やメタンの生成抑制効果,並びに脱窒の著しい活性化が認められたことである。さらに,湖底堆積物からのリンの溶出抑制効果や底生生物の復活も観られた。本手法が,生態系へのリスクが極めて少なく,かつ酸欠状態の解消を起点とするプラスの波及効果をもたらすことを意味する。
(本報告は,科研費「基盤研究(A),課題番号19201016」によるプロジェクト研究の一環として行った研究成果の一部である)

掲示用ポスター