2004/04/14 第055回 - 山田 桂 博士

第55回汽水域懇談会

4月20日(火曜日)夕方より第55回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、 ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『後期鮮新世における貝形虫化石群集を用いた日本海沿岸域の古環境復元
Paleoceanographic changes in the coastal area of the Sea of Japan during late Pliocene on the basis of fossil ostracode assemblages』

話題提供:山田 桂 博士 日本学術振興会特別研究員 (島根大学 汽水域研究センター) 

話題提供者自己紹介:
日本学術振興会特別研究員として,3年間汽水域研究センターにお世話になることになりました.これまでは,貝形虫という微小甲殻類の化石の群集変化から,古環境復元を行ってきました.修士・博士課程では,後期鮮新世の北半球の氷床が拡大した時期に日本海がどのような変化をしていたのか,ということに興味をもって研究を行ってきました.今回の発表はあまりなじみのない内容かもしれませんが,多くのご意見をいただければと思います.よろしくお願いいたします.

日時:4月20日(火曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)

皆様のご来聴をお待ちしております。


 

概要:
後期鮮新世は北半球の氷床が拡大した時代であり,特に2.7 Ma以降徐々に寒冷化したことが知られている.水深100m前後の浅い海峡で外海とつながる日本海は,この氾世界的な寒冷化による海水準変動の影響を強く受けたことが予想される.特に現在表層約150-200 mを流れる暖流は,流入量が減少し日本海の海洋環境に大きな影響を与えたと考えられる.しかしながら,暖流の影響を受けやすい沿岸域のデータはほとんどなく,氾世界的な寒冷化の影響をどのように受けたのかは明らかにされていない.そこで本研究では,沿岸域に生息する貝形虫化石の群集解析により,特に温暖期から寒冷期への移行期に着目し,日本海沿岸域の海洋環境の変化を明らかにすることを目的とした.
富山県氷見地域(藪田層),新潟県胎内地域(鍬江層),および秋田県五城目地域(笹岡層)において,約2.80-2.55Maの層準を対象にして,3000-8000年間隔でそれぞれ試料を採取し高時間分解能解析を行った.認められた貝形虫化石は現在の日本海暖流下部の群集を全く含んでおらず,当時の暖流は現在よりも薄かったことが明らかになった.群集解析から明らかになったそれぞれの地域における環境変化を対比した結果,共通する4回の浅海化が認められ,そのうち2回は酸素同位体比ステージG6-G2のいずれかと104に対比されると考えられる.また,氾世界的な寒冷化に伴い,日本海では寒冷水塊が南下したことが示された.しかしながら,中国大陸や日本海深海底コアに記録されている約2.6 Maのアジア気候システムの変化の影響はほとんど認められず,日本海沿岸域は暖流流入量減少の影響をより強く反映していると推察される.