2005/04/19 第063回 - 竹林 洋史 博士

第63回汽水域懇談会

4月26日(火曜日)夕方より第63回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『流路の動態を利用した多様な水辺空間創り』

竹林 洋史 博士 徳島大学工学部建設工学科 助教授

竹林 博士は、徳島大学工学部建設工学科の水工学研究室で河川を対象に防災や生態系保全に関する研究を行っています。主なテーマとして、河道内植生の動態と水理、流路の変動特性などに精力的に取り組まれています。
今回の懇談会では、どのような河川地形が生態系に対して多様な物理環境を提供できるのか、網状流路に関する興味深いお話が聞けるものと思います。皆様のご来聴を心よりお待ちしております。

日時:平成17年4月26日(火曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)

皆様のご来聴をお待ちしております。
../seminar/63reccle.pdf


要旨:
多様な生態系の保存・創生を目標とした河川の整備計画を作成する上で最も難しい問題が,目標とする河川像を描くことかと思われる.従来,多様な生態系を有する河川像として,過去の人為的インパクトの少ない時期の河川を設定し,河川整備計画を考えることが多い.しかし,土地利用形態が以前と異なる上に,ダム貯水池や砂防ダムなど水と土砂の流出特性をコントロールする河川構造物は既に建設され,市民の生活に不可欠なものとなっており,過去の人為的インパクトの少ない時期と同じような水と土砂の流出過程を復活させるのは困難である.さらに,過去の人為的インパクトの少ない時期の水辺空間は,非平衡系の地形形成プロセスのある一時期の水辺空間に過ぎず,それ以上に多様な物理環境を有する水辺空間が存在すると考えられる.では, どのような河川地形が生態系に対して多様な物理環境を提供できるのであろうか?非粘着性河床材料により形成された沖積河川については,網状流路がその一つの答えのように思われる.
一方,日本の多くの河川では,近年,砂州上の植生が異常に繁茂し,砂州の固定化が発生するとともに流路の本数が減少している.砂州の固定化は,河道内で最も動植物の生産量が大きい陸水の遷移域を減少させるとともに,砂州域が陸域の動植物の生息空間となるため,水辺の物理環境が単調化する.このような実河川での現象を踏まえ,本研究では,網状流路が創り出す物理環境の多様性を定量的に評価するとともに,流路の動態を利用することにより,単調化された物理空間に多様性を再生する方法論を示す.