2006/06/13 第072回 - 宮本 康 博士

第72回汽水域懇談会

6月19日(月曜日)夕方より第72回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『日本海の海面と集水域の降水量の変動に応じた中海の水質と藻場の年変動』

宮本 康 博士 島根大学汽水域研究センター 非常勤研究員

島根大学汽水域研究センター非常勤研究員の宮本博士は、生物同士の相互作用や生物とそれをとりまく環境との相互作用を主に研究されています。今回の発表では、汽水域の水質と藻場の相互作用について、中海で行った研究結果を紹介していただきます。皆様のご来聴をお待ちしております。

日時:平成18年6月19日(月曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)


発表の概要:
汽水域の生態系は集水域からの淡水流入と外海からの海水流入の影響下にある。これらの流入水は集水域における降水や外海の海面の状況に応じて変化するため、汽水域生態系も降水量や外海の海面の変動に応じて変化することが予想される。そこで、本研究は降水量と海面の変動が汽水域の生態系にどのような変化を与えるのかを、中海の水質と沿岸藻場に注目して調べた。具体的には、(1)過去24年間における日本海の海面と集水域の降水量の変動に応じた中海の水質変化、(2)過去3年間における海面と降水量の変動に応じた沿岸藻場の変化、を調べた。過去24年間において海面の高い年は中海の水質が良くなる傾向(chl.a量・総窒素量・総リン量の減少)が認められた。反対に、降水量の多い年は水質が悪くなる傾向(chl.a量・総窒素量・総リン量の増加)が認められた。また、過去3年間において海面が高い年は藻場が発達する傾向(垂直分布の拡大と種多様性の増加)が認められ、反対に、降水量が多い年は藻場が衰退する傾向(垂直分布の縮小と種多様性の低下)が認められた。以上の結果より、降水量と海面の変動は中海生態系に正反対の影響を与えていること、すなわち、降水量の増加は中海生態系を劣化させ、海面の上昇は生態系を改善することが示された。