2006/09/27 第074回 - 大林(程木)夏湖 博士

第74回汽水域懇談会

10月4日(水曜日)夕方より第74回汽水域懇談会を行います。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

『生物の適応と進化―動物行動の進化シミュレーション、藻類の光適応、絶滅危惧種の保全―』

大林(程木)夏湖 博士 島根大学汽水域研究センター 非常勤研究員

今回話題を提供していただくのは、7月から非常勤研究員として汽水域研究センターに勤務している大林さんです。大林さんは、大学院では進化生態学を専攻され、淡水棲巻貝を材料に性転換のメカニズムについて研究し、また、博士課程修了後は、様々な材料(魚類・鳥類・植物・水生昆虫)を用い、基礎生態学と環境科学の融合を目指した研究を行われてきました。
今回の発表では、それらの一部を紹介していただきます.

日時:平成18年10月4日(水曜日)午後5時より1時間程度
場所:島根大学汽水域研究センター2階演習室(201)


発表の概要:
多くの動物・植物の性は生涯個体毎に不変であるが、一部の動植物では、成長過程でオス(雄株)からメス(雌株)へ、またはメス(雌株)からオス(雄株)へ性が転換したり(経時的雌雄同体)、同一個体がオス器官とメス器官を同時に持つ(同時的雌雄同体)ことがある。Charnov(1982)は、このような生理的・発生学的な経時的性転換のタイミングを「サイズ有利性モデル」(size advantage model)によって説明した。しかし、同時的雌雄同体動物では、一時期に一方の性しかもたない性転換動物とは異なり、成熟個体はオス機能とメス機能の両方で繁殖可能であるため、状況が複雑になる。つまり、同時期にオス機能とメス機能へ資源を配分することを必要とし、さらに、他個体と遭遇した場合、「自分がオス役として振舞うかメス役として振舞うか」という性的役割(gender role)を決定する必要性も生じる。そこで、同時的雌雄同体の巻貝サカマキガイ(Physa acuta)を使用し、体サイズに着目して実験を行うと共に、それらをパラメタ−として使用し、成熟後も成長し続けるこの巻貝について、繁殖と成長のtrade-offを導入したIndividual based modelを作成し、どのような行動進化が起こるかを検証した。
また、時間が許せば、共同研究として加わった(1)太陽光紫外線に対する淡水藻類の光適応と、(2)絶滅危惧種の生態と保全、について話したいと考えている。