2013/07/12 第107回 - 瀬戸 浩二 博士

  第107回の懇談会は、島根大学汽水域研究センター准教授・瀬戸 浩二 博士の話題提供で行うことになりました。皆様お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。

 


第107回汽水域懇談会

 

青森県小川原湖における水質環境と底質

瀬戸 浩二 博士(島根大学 汽水域研究センター 准教授)

日時:2013年7月12日(金曜日)17:00〜18:00
場所:島根大学 汽水域研究センター2階 セミナー室(201)

 


 

【発表の概要】
 古環境や古気候を解析するためには,現在の環境やそれを記録する堆積物の特徴を明らかにしておく必要がある.特に潟湖では,それぞれ特徴的な湖沼環境を示すため,古環境解析を行う前に調査・研究をしておかなければならない.青森県小川原湖全域の水質・底質環境の特性を把握するため,現地調査を行った.調査地域である小川原湖は,青森県東部に位置する汽水湖で,水深20m付近には年間を通じて塩分躍層が存在する.夏季には水深10m付近に水温躍層が形成され,三成層状態になると言われている. 調査を行った2012年の小川原湖の表層の水温は24〜25℃,底層では9℃と低い水温を示し,水深8〜18mで水温躍層がみられた.塩分は,表層では2psu以下で,中でも七戸川河口付近では1psu以下である.底層では12psuと高い塩分を示し, 8〜18mの水深で塩分躍層が形成されていた.本研究期間において,このように,表水層(0-8m),変水層(8-18m),深水層(18m以深)の三層構造を示した.変水層以深は無酸素〜強還元的な環境である.変水層の上部は水温と塩分による密度変化を示し,下部は主に塩分のみによる密度変化を示している.また,表水層と深水層ではクロロフィルa濃度が高く,深水層で濁度,懸濁態有機炭素濃度が高い.
 表層堆積物は,水深6m以浅では,比較的淘汰の良い砂質堆積物,それ以深では黒色の泥質堆積物である.泥質堆積物は,粒度分析の結果,3.5φ5.5φ7.5φにモードを持つ頻度分布を示した.3.5φのモードは,北部で高く,南に向かって減少することから,日本海側からの塩水流入による密度流によって供給されたものと考えられる.表層堆積物のCNS元素分析の結果,全有機炭素(TOC)濃度は主に水深が深くなるにしたがって高くなる傾向を示し,変水層以深で8%前後と非常に高い値を示した.これは,同じ汽水湖である中海,宍道湖,網走湖,藻琴湖などと比較しても高い値である.この高い値は,基礎生産が高いこと,無酸素〜強還元的環境を示すことにより有機物が分解されにくいこと,堆積速度が遅いことに起因しているものと思われる.


 

掲示用ポスター