境界は、混じり合う場所でもある
川を流れてきた淡水と、海から届く海水が出会う汽水域では、境界は一本の線として止まっていない。潮の満ち引きや地形によって位置と濃度を変え、どちらか一方だけでは生まれない環境をつくる。
水面が完全に空を映したとき、上下を分ける手がかりは人の影だけになる。風景が変わったのではない。こちらが使っていた分類の手がかりが、一時的に失われた。
曖昧さは情報の欠落ではない
境界が曖昧になると、すぐには名前を付けられない。その短い保留の時間に、色、距離、重力、身体の位置といった、普段は分類の影に隠れている感覚が前に出てくる。
今日見た風景の中に、どちらとも言い切れない場所はあったか。
